KYな雑記帳

個人的なメモ帳

Delegation Boardで引き継ぎを可視化する

「前職当月払い+現職翌月払い」というコンボをくらったため、12月の収入がなかった人です。
貯金って必要だなと思いました。

さて、このコンボをくらったということは転職して12月から職が変わったということです。
転職したということは転職先の業務の引き継ぎがあります。

でも引き継ぎって、何をすればいいのか?どこまでやったのか?分かりづらくないですか?
また、タスクを引き継ぐ人と引き継がれる人とで認識の違いもでてきますよね。
例えば、「口頭で教えたからもう引き継ぎは終わりだ」「口頭では教えてもらったけど実際に自分でできるレベルにならないと引き継いだとは言えないな」みたいな。

ということで何も準備せずに引き継ぎをしようとすると以下のような問題にぶつかると思います。

  • 引き継ぎに関して、何を教えればいいのか?どこまで教えたのか?進捗がわからない
  • 教えるべきタスク・できるようになって欲しいことが抜けているかもしれない
  • タスクを引き継ぐ人と引き継がれる人とで、認識がずれる可能性があり、お互いに気づかないままスレ違っている可能性がある

そんな折にDelegation Boardというものを知ったので、実際に自分の引き継ぎに使ってみました。

Delegation Boardとは?

Delegation Boardとは、Management 3.0の手法で、マネージャーとチームメンバーの間柄を、「指示する側・される側」や「全て移譲する側・移譲される側」の2値ではなく、以下の7段階の移譲レベルで表現しています。

  • 1. 命令する : マネージャーが意思決定を行う
  • 2. 説得する : マネージャーの意思決定についてチームメンバーを納得させる
  • 3. 相談する : マネージャーが意思決定をする前に、チームメンバーからの意見を得る
  • 4. 同意する : マネージャーとチームメンバーが一緒に決定を下す
  • 5. 助言する : チームメンバーによる意思決定に、マネージャーが影響を及ぼす
  • 6. 尋ねる : チームの決定後のフィードバックをマネージャーが求める
  • 7. 委任する : 特に影響を及ぼさずにチームに任せる

組織としてはできる限り7に近づくことも目標にします。

Delegation Boardを作るときは、デリゲーションポーカー(権限委譲ポーカー)と呼ばれる7種類のカードをプランニングポーカーのように使います。

Delegation Boardを引き継ぎの進捗の可視化する

元々は組織マネジメントの権限の状態の可視化のためのものみたいですが、今回僕は引き継ぎ進捗の可視化のためにために使ってみました。
先輩のタスクを引き継ぐので、先輩や僕自身も編集できるようにしたほうが便利なので、google spreadsheet上で作りました。
実際に使ったものとしては以下の画像のようになります。 (実際はもっとタスクがあります)

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左端に引き継がれるタスクの一覧や、できるようになってほしい事をリストで書きます。
最初に作った時には抜けているものや必要のないものもあるかもしれません。都度共有しながら追加や削除をしていくので良いと思います。
今回やった時も、忘れていたタスクを後から追加するケースもありましたし。

それぞれの各タスクについて今はどんな状態なのかチェックをつけていきます。
今回は引き継いでいく自分が各タスクについてどの状態なのかを先にチェックをつけておいて、後から先輩に確認をしてもらいました。差分がでたら理由を聞いたり話したりした感じです。

各タスクについて教えたりペア作業をしたりなどのタイミングでチェックを更新しました。
更新するときもお互いに声をかけて、更新したことを共有してました。

使ってみてよかった事

引き継ぎの進捗の確認ができるのが便利だと思いました。
また、記事の最初の方であげた問題点も解決できています。

引き継ぎに関して、何を教えればいいのか?どこまで教えたのか?進捗がわからない

何を教えればいいのか?という項目を洗い出すし途中で調整もできるので教えるべきタスクも可視化できる。
どこまで教えたか?についてもそれぞれの項目について状態のチェックを行うので進捗の可視化もできる。

教えるべきタスク・できるようになって欲しいことが抜けているかもしれない

抜けていても思い出した時点で追加も可能です。項目を追加していれば定期的に見返した時に教えてない事に気づけます。
引き継ぎって短時間で一気にやるものではなく、少なくとも1ヶ月は期間があるはずなので、1ヶ月も一緒に業務をやっていれば抜けているタスクにも気付けるはずです。

タスクを引き継ぐ人と引き継がれる人とで、認識がずれる可能性があり、お互いに気づかないままスレ違っている可能性がある

状態を更新するときは都度共有していましたし、共有が漏れていてもタスクを引き継ぐ人・引き継がれる人がそれぞれ都度チェックしていれば気付けると思います。

更に言うとこれを残しておくことで、タスクを引き継いだ人が誰かに引き継ぐ時に再利用できます。
習慣になってしまったことは誰かに教えるタイミングになると抜けてしまいがちですが、最初に引き継いだ時のリストが残っていれば、引き継いだものを漏れなく別の人に引き継ぐ事もできそうです。

使ってみて良くなかったこと

実際に使ってみて良くないと感じた事もあったので書いておきます。
「各状態ってはっきり分けれない」というのが使っている中で不便に思ったことです。
「複数の状態を同時にやっていて分類できない」とか「3(相談), 4(同意),5(助言)ってほぼ同時にやっているけど、状態分ける必要ある?」とか。
実際3の「相談」の状態から、一気に6の「尋ねる」の状態まで更新したこともあったので、順番に段階を更新しなくてもいいのかなとは思いました。

まとめ

今回は引き継ぎの内容や状態の可視化をDelegation Boardを使って試してみました。
使ってみた感想としては便利だったと思います。
当人同士が進捗を確認できるだけでなく、他の人に進捗を説明する際にも一つ一つ説明しなくても、Delegation Boardを見せるだけで伝える事もできたのも便利だと思いました。

今回はタスクの引き継ぎに使ってみましたが、新人教育やオンジョブトレーニングにも使えそうだなと思いました。
新人が目指す人物像・なって欲しい人物像のために、チームとしてできてほしいタスクや意識してほしい事を書き出すことで取り組みべき項目が見えるので取り組みやすくなると思います。
また、命令されないと動けない状態(1.命令)から、新人が自発的に意識・行動する状態(7.委任)まで、現在どこなのかを見れるので、次のアクションも相談しやすいし、評価者への説明もしやすくなると思います。

いろいろと可視化することで楽になったり問題を見つけたりできるので、いろんな分野で可視化を試してみるといいのかなと思いました。